2018/11

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顔まで布団をかぶって寝ていたら、「ソーセージ・パンの先っちょみたい。」
と嫁に言われたノーブル佐々木です。


悪気はなくても、心に突き刺さる嫁の一言。
25年という時の重みが、言葉の先端、すなわち剣先に収斂したような、熟練の技を感じる一言。

もう、ずたずた・・・


■忘年会が終わった

前夜、大沢温泉の自炊部で忘年会し、翌日の午前中は、同じ面子で会議。
お昼を過ぎる頃には、それも終わり、軽い疲労と開放感の中、それぞれが家路につく。
そのまま帰るもの、何処かに寄って行くもの、お祭り後のいつもの風景。

会長の高橋氏が旅館の会計を終えて部屋に帰ってくると、小原女史とオラホの3人がこうして残っていた。
このまま帰るのも名残惜しい雰囲気も手伝って、3人で昼食をすることになり、旅館の食堂でざるそばを食べた。
月曜日の昼下がり、まだそれほど客のいない旅館の食堂で、まったりとした時間が過ぎていく。


■写真

旅館を出る時、荷物の多い高橋氏が少しもたついていた。
先に靴を履いたオラホは、その間、玄関周辺を何気なく見渡していた時、下駄箱の上に飾られている一枚の写真に目がとまった。
この旅館の露天風呂だ。
そこに数人の半被(はっぴ)を着た中年の女性が風呂に腰まで浸かって、湯船に浮いている大木を取り囲んでいる。
なんかの儀式のようだ。

なんだろう?と思い近寄って、よ〜く見ると、大木のこちらに向いている先端が丸みを帯びている。
見たことがある形だ。

おおお〜、オラホも持ってるあれだ、男根だ。
よく子宝祈願とかで、テレビでもよく見かけるやつ。
ここの場合は、魔除けとしてやるらしいが、なんで男根?とか思いながら見ていた。
たぶん、にやけてたと思う。
おっさんらしい図だ。

そうこうしている内に、高橋氏も準備ができ、玄関口に揃ったところで、外に出た。
「ありがとうございました〜。」と、後ろから声がする。


■呼び戻したもの

これをネタにしない手はない、と思い、今見た写真を2人に話すと小原女史が言った。

「あ〜、あれね。そう言えば、あの形をしたキャンディーをここの売店で売ってるのよ。」

「ぬぁに!?」

やっちまったなぁ〜、とは言わなかったが、喰いついたのは、勿論オラホだ。

「おおおお〜、それは買わないわけにはいかない。」

そう言うとオラホは、すぐさま踵を返して旅館に向かった。

「あ、売店のレジのすぐ横にあるからね。」

女史のフォローは、いつも的確でナイスタイミングだ。
玄関口の引き戸を開けると、客と思ったスタッフ〜が、いらっしゃいませ〜と声を揃える。
ちょっと恥ずかしいぞ。

「え?いえ、ちょっと、買い物を忘れて…」

などと、墓穴を掘るような真似はオラホの自尊心が許さない。

「は?それは、どのようなものですか?」

とか、聞き返されたら何と答える、オラホ。
ここは、無視するが最良の策と見た。
オラホは、玄関口のすぐ真ん前にある売店の引き戸を開け、中に入ると、すぐ横にあるレジ周辺を見渡した。
しかし、レジ回りには、所狭しと商品が並べられており、お目当ての物が見当たらない。

く〜、今は外に人を待たせていることもあり、時間を喰うわけにはいかない。
ここは、レジのおばさんに聞くしか手はないようだ。

「す、すみません。ここにすんごい飴がある、って聞いたんですけど…」

一瞬、あの感覚が蘇った気がした。
本屋で初めてエロ本買った時の感覚だ。
客がいなくなるタイミングを見計らって、普通の本の下にエロ本忍ばせ、レジに持っていたあの時。
あ〜、オラホにもそんな‘ゆず’のような青々しく、酸っぱい時代があった。
いや、‘かぼす’だったか?
そんな思春期の思い出に浸る間もなく、おばさんは指さして言った。

「そこにございます。」

「即答かよ!」

オラホの心の叫びは誰にも聞こえることはなかった。


■導かれた者

オラホは、おばさんの指さす方へ導かれるように視線を移動する。
ん?どこだ?一瞬迷ったが、それは確かにそこにあった。
‘魔除飴’とある。
白い根幹にダークブラウンの先端のそれが、まるで松林に群生する松茸のように整然と立ち並んでいる。

お、よく見るとサイズが3種類ある。
いわゆるスリーサイズというやつか。
Sが380円、Mが580円、Lが1080円。
どーする自分。

Sでは、卑屈と思われるだろうか?
Lでは、身の程知らず、と思われるかもしれない。
よし、ここはMとすることにしよう。
まてよ、それではあまりに月並み、平凡なやつと見られるかもしれない。
人は、その人生において、様々な場面で選択を迫られるが、時としてその後の人生に深く関わる重大な選択があると言うが、はたして、これがそれか?
それなのか?


■SとM

何秒経ったろう。
オラホの手の中には、SとMの2本があった。
そそくさと会計を済まし、2度目の「ありがとうございました」に見送られ旅館を出て、先をゆっくり歩いていた2人に追いついた。

「Mは嫁に、Sは娘に買っちゃった。」

とか、意味不明な言い訳をするオラホ。
いちいち言い訳がましい自分が少しイタイ。
それから歩きながら少し話をして、駐車場に着くと互いに車に乗り込み、2人とはそこで別れ、それぞれ家路についた。

帰りの車の中でオラホは、先ほど買った土産物のことを思っていた。
はたして、あのキャンディー、食すことがあるのだろうか?
あるとすれば、それは先端からか?
意表をついて裏筋から行くか?
卑猥だ。
卑猥すぎる図だ。

妄想は、澄んだ初冬の紺碧の空のように果てしなく、尽きることはなかった。


大沢温泉魔除飴3

袋に入っている‘魔除飴’

大沢温泉魔除飴2

SとM,2本並べた‘魔除飴’

大沢温泉魔除飴5

‘魔除飴’近影


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